
SES単価の相場一覧とマージン率の平均は?還元率・給料アップの方法から優良企業の見つけ方まで徹底解説
- SESのマージン率は平均約39%が目安で、還元率が高いほど給与原資が増え年収に差が生まれます。
- 商流が深くなると中間マージンが積み重なるため、収入最大化には直請け案件が多い企業選びが有効です。
- クラウド設計や上流工程の経験を持つエンジニアは市場価値が高く、高単価を狙える傾向にあります。
- 単価向上には需要の高いスキルの習得や担当工程のシフト、更新時のデータを用いた交渉が効果的です。
- 優良SES企業は単価連動報酬や案件選択制を採用し、マージン率を公開して評価の透明性を確保しています。
SES(システムエンジニアリングサービス)で働くエンジニアにとって、契約単価とマージン率は給与に直結する重要な要素です。
「自分の単価がいくらなのか教えてもらえない」「会社にどれだけマージンを取られているのかわからない」といった不満や疑問を抱えながらも、具体的にどう動けばいいのかわからないまま働き続けているエンジニアも多いのではないでしょうか。
しかし、単価・マージン率・還元率の仕組みを正しく理解していないと、本来得られるはずの収入を逃してしまう原因になりかねません。
本記事では、SESのマージン率の計算方法や業界相場から、2025年時点の職種別・経験年数別の単価一覧、単価と給料を上げるための具体的な方法、さらにはマージン率が低い優良企業を見極めるポイントまでをわかりやすく解説します。
1.SESのマージン率とは?
この章では、SES単価・マージン率・還元率の定義と相互関係、マージンの使い道や商流による影響について解説します。
SES単価・マージン率・還元率の関係とは?
SES単価とは、クライアント企業がSES企業に支払う月額の契約報酬を指し、マージン率はそのうち会社が差し引く割合、還元率はエンジニアの給与として渡る割合を意味します。
この3つは「単価×還元率=エンジニアの給与原資」「マージン率+還元率=100%」という関係にあり、マージン率の高さがエンジニアの手取り額を左右します。
たとえば、クライアントが月80万円の単価を支払いマージン率が35%の場合、会社の取り分は28万円、エンジニアの給与原資は52万円(還元率65%)です。
同じ単価でもマージン率が高い企業に所属すると手取りは減り、低い企業に所属すると手取りは増えます。そのため、SESで働く際は単価の額面だけでなく、自分が所属する企業のマージン率にも目を向けることが重要です。
マージン率の計算方法と相場はどのくらい?
SESのマージン率は「(単価−エンジニアへの支払い額)÷単価×100」の計算式で算出し、業界全体の相場は概ね30%〜50%の範囲に収まります。
厚生労働省が公表する「令和5年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)
」によると、情報処理・通信技術者の平均マージン率は約39%で、SES業界における一つの目安となっています。
ただし、社会保険料や交通費をマージンに含めるかどうかは企業ごとに異なるため、計算方法に統一基準がない点には注意が必要です。
マージン率 |
会社の取り分 |
エンジニア給与原資 |
年収換算(概算) |
|---|---|---|---|
20%〜25% |
16万〜20万円 |
60万〜64万円 |
720万〜768万円 |
30%〜35% |
24万〜28万円 |
52万〜56万円 |
624万〜672万円 |
40%〜50% |
32万〜40万円 |
40万〜48万円 |
480万〜576万円 |
上記の表のとおり、単価80万円の場合にマージン率が10%異なるだけで年収に100万円以上の差が出るケースもあります。自社のマージン率を確認するには、SES企業の求人情報や面談の場で還元率と計算方法を直接聞くのが最も確実な方法です。
還元率とは?
還元率とは、クライアントからSES企業に支払われる単価のうち、エンジニアの給与として還元される割合を示す指標です。一般的なSES企業では還元率50%〜60%が多く、70%を超える企業は「高還元SES」と呼ばれています。
近年は還元率を公開する企業が増え、中には75%〜85%を掲げる高還元SES企業も存在します。ただし、企業によっては社会保険料の会社負担分や交通費を還元率の計算に含めているため、同じ「還元率70%」でも実際の手取り額は異なります。
確認すべきポイントは、その数値が「平均値」か「上限値」か、どこまでの経費を含んだ計算なのかという点です。なお、還元率が極端に高い企業は福利厚生や教育制度が手薄な場合もあるため、還元率だけでなく総合的な待遇とのバランスも考慮する必要があります。
マージンの使い道とは?
SES企業がマージンとして差し引く金額は全額が会社の利益ではなく、エンジニアの雇用維持に必要なさまざまな経費に充てられています。
主な使い道は以下のとおりです。
社会保険料(厚生年金・健康保険・雇用保険など)の会社負担分:
概ね単価の11%〜15%
営業担当・管理部門の人件費:
案件獲得やクライアント対応のためのコスト
オフィス家賃・通信費・PC等の設備費:
事業運営に必要な固定費
採用活動費:
求人広告・エージェント利用料・面接にかかるコスト
教育研修費・資格取得支援:
エンジニアのスキルアップを支援する費用
待機リスクの補填:
案件が決まらない期間も給与を支払うための備え
厚生労働省の調査では、派遣事業のマージンのうち社会保険料が平均11.4%、営業利益は平均5.9%程度とされています。つまりマージンの大半は経費に消費されており、会社の純利益はその一部にすぎません。
そのため、マージン率が高いからといって即座に「搾取」と判断するのではなく、マージンに見合う福利厚生やサポート体制の有無を確認することが大切です。
商流が深いとマージンはどれだけ増える?
商流が深くなるほど中間マージンが積み重なり、エンジニアの手元に届くSES単価は大幅に目減りします。
「商流」とはエンドクライアントとエンジニアの間に介在する企業の数を指し、一次請け・二次請け・三次請けと経由するごとに概ね10%〜20%の中間マージンが差し引かれる仕組みです。
商流 |
各社マージン |
エンジニア所属企業に届く単価 |
|---|---|---|
一次請け(直請け) |
なし |
100万円 |
二次請け |
15%(15万円) |
85万円 |
三次請け |
15%+15% |
約72万円 |
四次請け |
15%×3社 |
約61万円 |
同じスキル・同じ業務内容であっても、所属企業の商流上の位置によって単価は数十万円単位で変動します。
さらにここから自社のマージン(30%〜50%)も差し引かれるため、三次請け・四次請けのSES企業ではエンドクライアントの支払額の半分以下しか届かない場合もあります。収入を最大化するには、クライアント直請けの案件を多く持つ商流の浅い企業を選ぶことが有効な対策の一つです。
2.【2025年最新】SES単価の相場一覧
この章では、職種別・経験年数別・スキル別のSES単価相場を最新データとともに一覧で整理します。
職種別のSES単価相場はどのくらい?
SES単価は職種と担当工程によって大きく異なり、テスト・運用などの下流工程よりも要件定義・基本設計といった上流工程やマネジメントを担う職種ほど高い単価が設定される傾向にあります。
職種ごとのSES単価相場を知っておくと、自分の現在の単価やマージン控除後の受取額が市場水準と比べて適正かどうかを判断する材料になります。
以下では、テスター・未経験者層からインフラエンジニア・開発SE、PL・PMまで、代表的な職種カテゴリごとに単価の目安を整理します。
テスター・未経験〜1年目エンジニアの場合
テスターやIT業界未経験〜経験1年目のエンジニアはSES業界で最も単価が低い層に位置し、月額30万〜45万円が相場です。
業務は仕様書に沿った動作確認やバグ報告が中心で、高度な専門知識がなくても取り組めるため、未経験者の最初のステップとして選ばれやすい職種です。
ただし、テスト自動化ツール(Selenium・Appiumなど)の経験やテスト設計スキルがあると、50万〜55万円程度まで単価が上がるケースもあります。
インフラエンジニア・開発SE・PGの場合
インフラエンジニア・開発SE(システムエンジニア)・PG(プログラマー)はSESの中核を担う職種で、月額単価は50万〜85万円が中心帯です。
職種 |
単価相場(月額) |
主な業務内容 |
|---|---|---|
プログラマー(PG) |
40万〜65万円 |
詳細設計に基づくコーディング・単体テスト |
開発SE(初級〜中級) |
55万〜80万円 |
基本設計・詳細設計・開発・テスト |
インフラエンジニア |
50万〜80万円 |
サーバー構築・ネットワーク設計・クラウド環境構築 |
インフラ(クラウド特化) |
65万〜95万円 |
AWS/Azure/GCP設計構築・IaC・コンテナ運用 |
開発SEは要件定義や基本設計など上流工程まで対応できるかどうかで単価に15万〜20万円の差が生まれ、対応範囲の広さが市場評価に直結します。
インフラ領域ではAWS・Azure・GCPなどクラウド環境の設計・構築経験があると単価が大きく上がる傾向にあります。なお、クラウド関連資格(AWS SAP、Azure Solutions Architectなど)を保有していると、スキルの証明として単価交渉でも有利です。
PL・PM・上流工程の場合
PL(プロジェクトリーダー)やPM(プロジェクトマネージャー)はSES単価で最も高い価格帯に位置し、月額80万〜130万円以上が相場です。
PMはプロジェクトの進捗・予算・リスク管理やクライアント折衝を担い、大規模案件や金融・官公庁系を統括できる場合は月額120万〜150万円に達することもあります。PLは5〜10名規模のチーム管理と開発を兼ねるプレイングマネージャー型が多く、月額75万〜100万円が目安です。
経験年数で単価はどれだけ変わる?
SES単価はエンジニアの経験年数に応じて段階的に上がり、経験5年以上で月額80万円を超えるケースが一般的です。
経験年数 |
月額単価の目安 |
特徴 |
|---|---|---|
未経験〜1年 |
30万〜45万円 |
テスト・運用監視が中心。業務知識の習得期 |
1年〜3年 |
40万〜60万円 |
開発経験を積み、得意分野を見つける段階 |
3年〜5年 |
60万〜80万円 |
設計や後輩指導を任され、単価が大きく伸びる時期 |
5年〜10年 |
80万〜100万円 |
上流工程やリーダー業務に携わり、専門性で差がつく |
10年以上 |
100万円〜 |
PM/PLやアーキテクトなど、マネジメント寄りの案件で高単価 |
経験年数が浅いうちは単価の伸びが緩やかですが、3年目以降に設計や後輩指導を任されるようになると月10万〜20万円単位で上昇する傾向にあります。
一方で、経験年数が長くても同じ作業の繰り返しでは単価は頭打ちになるため、工程の幅を広げるか特定技術で深い専門性を身につけることが求められます。10年以上のキャリアがあるエンジニアはPM・PLやアーキテクトなどマネジメント寄りのポジションで高単価を得るケースが多くなっています。
プログラミング言語や業務内容でも単価は変わる
習得しているプログラミング言語や対応できる業務領域によって、同じ経験年数でもSES単価に月額10万〜30万円の差がつくことがあります。
2026年時点で単価が高い傾向にある言語・技術領域は以下のとおりです。
Python(AI/機械学習・データ分析領域):
月額70万〜110万円
Go言語(バックエンド・マイクロサービス):
月額70万〜100万円
TypeScript/React/Next.js(モダンフロントエンド):
月額60万〜90万円
AWS/Azure/GCP(クラウドインフラ設計構築):
月額65万〜100万円
Kotlin/Swift(モバイルアプリ開発):
月額60万〜90万円
セキュリティ関連(脆弱性診断・SOC運用):
月額70万〜110万円
一方で、Java・PHP・COBOLなど市場にエンジニアが多い言語は需要があっても月額50万〜70万円の比較的安定した水準に落ち着く傾向にあります。
ただし、これらの言語でも大規模基幹システムのリプレイス案件や金融系プロジェクトでは、業務知識と掛け合わせることで高単価を狙えるケースがあります。つまり、プログラミング言語そのものの市場価値だけでなく、どの業務ドメインで活用するかという掛け合わせがSES単価を左右する重要な要素です。
単価100万円を超えるのはどんなエンジニア?
月額単価100万円を超えるSESエンジニアには、技術力の高さだけでなく「希少性」と「責任範囲の広さ」という共通点があります。
以下のような条件を満たすケースが大半です。
上流工程(要件定義〜基本設計)をクライアントと直接折衝しながら遂行できる
PM/PLとしてプロジェクトの予算管理・進捗管理・リスク管理を一手に担える
AI/機械学習・クラウドアーキテクチャ・セキュリティなど需要の高い専門領域を持つ
一次請け(プライム)や商流の浅い案件に参画している
複数の技術スタックやドメイン知識を横断的に持っている
経済産業省が公表する「IT人材需給に関する調査」では、2030年にはIT人材が最大約79万人不足すると推計されています。
特にAI・データサイエンス・クラウド・セキュリティの領域は需要に対して供給が追いついておらず、これらの専門性を持つエンジニアは今後もSES単価で高い水準を維持しやすい状況です。
高単価を目指すには「何のスキルを身につけるか」に加えて「どのポジションで案件に参画するか」を戦略的に考えることが重要であり、商流の浅い案件への参画や上流工程の経験を意識的に積むことが有効な対策になります。
3.SESエンジニアが単価と給料を上げる具体的な方法
この章では、市場価値の高め方や交渉のタイミング、転職による年収最大化の手段について具体的に解説します。
需要の高いスキルを身につけて市場価値を上げる
単価を上げる最も本質的な方法は、市場で需要が高く供給の少ないスキルを習得して自身の希少価値を高めることです。2025年のSES市場ではクラウド(AWS・Azure・GCP)、AI・機械学習、コンテナ技術(Docker・Kubernetes)、セキュリティの4領域が特に需要が高く、これらのスキルを持つエンジニアは単価交渉で有利に立てます。
具体的には、現在の案件に近い領域から技術の幅を広げるのが効率的です。たとえばインフラエンジニアならクラウド移行案件に携わりながらAWS認定資格の取得を目指す方法があります。
上流工程や高難度の案件に参画する
担当工程を下流(テスト・コーディング)から上流(要件定義・基本設計・PM)にシフトすると、単価は月額15万〜30万円程度上がる可能性があります。
上流工程はクライアントとの折衝やプロジェクト全体の設計判断を行うため高い判断力と業務知識が求められ、その分だけ単価が高く設定されています。
まずは現在の案件で設計書レビューへの参加やクライアント打ち合わせへの同席を営業担当に相談し、PM補佐やサブリーダーの経験を積むことが単価アップへの近道です。
単価見直しのタイミングで会社に交渉する
SES企業に所属するエンジニアが単価を上げるには、3〜6ヶ月ごとの契約更新時に営業担当を通じてクライアントへ単価見直しを打診するのが有効です。
交渉を成功させるには「なぜ単価を上げるべきか」をデータで示すことが重要です。
参画後に対応範囲が広がった業務の具体例(設計書作成や後輩指導など)
取得した資格やスキルアップの内容
市場相場との比較(同スキル帯の求人情報や業界の単価データ)
営業担当もエンジニアの単価が上がると会社の売上が増えるため利害は一致しており、味方につけて交渉するのが基本です。
高還元SES企業に転職して年収を最大化する
同じスキル・同じ単価でも所属するSES企業の還元率が異なるだけで年収に100万〜200万円以上の差が出ることがあり、高還元SES企業への転職は即効性のある手段です。
転職先を検討する際にチェックすべきポイントは以下のとおりです。
還元率が明示されているか(70%以上を目安に比較)
還元率の計算方法が透明か(社会保険料込みか否か、交通費の扱いなど)
案件選択制を採用しているか
商流の浅い案件(一次請け・二次請け)を多く保有しているか
ただし、高還元をうたう企業の中には福利厚生を最小限に抑えて見かけ上の還元率を高くしているケースもあるため、数値だけでなく待遇全体のバランスを確認することが大切です。
4.マージン率が低い優良SES企業を見つけるポイント
この章では、エンジニアにとって不利なマージン構造を避けるために、SES企業選びで確認すべき3つの制度的な判断基準を解説します。
単価と給与が連動する報酬制度を導入しているか
単価連動型の報酬制度を導入しているSES企業は、マージン率が低い優良企業である可能性が高いです。単価連動型とは「単価×還元率=月給」のように契約単価に応じて給与が決まる仕組みで、単価と還元率が開示されるため会社のマージンが一目でわかります。
一方、単価非公開の固定給制企業では単価が上がっても給与に反映されないリスクがあるため注意が必要です。
案件選択制を採用しているか
エンジニア自身が複数の案件から参画先を選べる「案件選択制」を導入しているSES企業は、マージンの透明性が高い傾向にあります。
この制度では案件ごとの単価や業務内容を比較できるため、スキルやキャリアプランに合った案件を選びやすく単価アップも狙えます。一方、案件を選べない企業では低単価や商流の深い案件に配置されるリスクがあるため、採用ページや面接時に制度の有無を確認してください。
マージン率を公開しているか
SES(準委任契約)にはマージン率の公開義務がないため、自主的にマージン率や還元率を公開しているSES企業はエンジニアを正当に評価する姿勢が強いと判断できます。
確認時のチェックポイントは以下の3点です。
公開されているマージン率(還元率)は「平均値」か「上限値」か
社会保険料・交通費・福利厚生費がマージンに含まれているか
エンジニア個人にも単価が開示される制度があるか
マージン率を自ら開示する企業は他社との比較にも耐えうる還元率を維持している傾向があり、SES企業選びの判断基準として有効です。
5.まとめ
SESエンジニアの収入は、スキルや経験年数だけでなく、所属企業のマージン率・還元率・商流の深さによって大きく変わります。
本記事では、SES単価とマージンの基本的な仕組みから相場、単価と給料を上げる具体的な方法、そして優良企業の見極め方までを解説しました。
収入アップを目指すなら、まず自分の契約単価と還元率を確認し、本記事で紹介した職種別・経験年数別の相場と比較することから始めてみてください。
現在の単価が相場より低い場合や、単価に対して手取りが少ないと感じる場合は、マージン構造や商流に原因がある可能性があります。
改善の手段としては、需要の高いスキルの習得、上流工程へのシフト、契約更新時の単価交渉、高還元SES企業への転職が有効です。企業選びでは「単価連動型の報酬制度」「案件選択制」「マージン率の公開」の3点を基準にすると、透明性の高い企業を見つけやすくなります。
IT人材の需要は今後も拡大が見込まれており、自身の市場価値を正しく理解したうえで戦略的にキャリアを構築していくことがますます重要になっています。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
