SESとSIerの違いとは?どっちがいい?年収・働き方・やめとけの真相や優良企業の見分け方を解説
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SESとSIerの違いとは?どっちがいい?年収・働き方・やめとけの真相や優良企業の見分け方を解説

公開日:2026/03/30最終更新日:2026/03/30
【この記事の結論】
  • SESは準委任契約で労働を提供し、SIerは請負契約で成果物の完成と納品に対して責任を負います。
  • SIerは主に設計等の上流工程を統括し、SESはプログラミングやテスト等の現場実装を担うことが多いです。
  • SESでは常駐先の顧客に指揮命令権がなく、直接指示を受けると違法な偽装請負となるため注意が必要です。
  • 多重下請け構造の影響を受け、元請けとなるSIerはSESに比べて平均年収が非常に高い傾向にあります。
  • 未経験者は教育体制が整ったSESで基礎を学び、実績を積んでから大手SIerへ転職するのが現実的です。


IT業界でキャリアを築くうえで、SES(システムエンジニアリングサービス)とSIer(システムインテグレーター)の違いを正しく理解することは重要なポイントです。


「SESとSIerの違いがよくわからない」「どちらに就職・転職すべきか迷っている」という方は多いのではないでしょうか。


両者の違いを曖昧なまま就職先を選んでしまうと、働き方や年収、キャリアパスの面でミスマッチが生じる原因になりかねません。


本記事では、SESとSIerの定義から契約形態・働き方・年収の具体的な違い、それぞれのメリット・デメリット、向いている人の特徴までわかりやすく解説します。


目次
  1. 1.SESとは?システムエンジニアリングサービスの基本
    1. SESの定義と契約形態(準委任契約)
    2. SESの働き方|客先常駐の実態
    3. SESの年収目安
  2. 2.SIerとは?システムインテグレーターの基本
    1. SIerの定義と契約形態(請負契約)
    2. SIerの種類|メーカー系・ユーザー系・独立系・外資系
    3. SIerの年収目安
  3. 3.SESとSIerの違いを比較
    1. 契約形態の違い|準委任契約と請負契約
    2. 指揮命令権の違い
    3. 担当工程の違い|上流と下流
    4. 年収・待遇の違い
    5. 働き方・勤務場所の違い
  4. 4.SESで働くメリット・デメリット
    1. SESのメリット
      1. 多様な現場・技術を経験できる
      2. 未経験でも採用されやすい
      3. 残業が少なく人間関係をリセットしやすい
    2. SESのデメリット
      1. 案件の当たり外れがある(案件ガチャ)
      2. スキルや経験が偏りやすい
      3. 年収が上がりにくい構造がある
  5. 5.SIerで働くメリット・デメリット
    1. SIerのメリット
      1. 大規模案件や上流工程に携われる
      2. PMやマネジメントスキルが身につく
      3. 経営が安定し福利厚生が充実している企業が多い
    2. SIerのデメリット
      1. 多重下請け構造の影響を受けやすい
      2. 担当範囲が限定され技術が偏る場合がある
      3. 納期プレッシャーで激務になりやすい
  6. 6.SESとSIerどっちがいい?向いている人の特徴
    1. SESが向いている人
      1. さまざまな技術・現場を経験したい人
      2. 未経験からエンジニアを目指したい人
      3. ワークライフバランスを重視したい人
    2. SIerが向いている人
      1. 上流工程やPMを目指したい人
      2. 大規模プロジェクトに携わりたい人
      3. 安定した環境・福利厚生を重視したい人
    3. 未経験からエンジニアを目指す場合の選び方
  7. 7.「やめとけ」は本当?SESとSIerの注意点
    1. SESが「やめとけ」と言われる理由
    2. SIerが「やめとけ」と言われる理由
    3. 優良企業の見分け方とは?
  8. 8.SESとSIerの将来性
    1. SESの将来性
    2. SIerの将来性
  9. 9.まとめ

1.SESとは?システムエンジニアリングサービスの基本

この章では、SESの定義や契約形態、実際の働き方、年収の目安について解説します。SESを検討している方は、まず基本的な仕組みを押さえておきましょう。

SESの定義と契約形態(準委任契約)

SESとは「System Engineering Service(システムエンジニアリングサービス)」の略称で、エンジニアの技術力や労働力をクライアント企業へ提供するサービス形態です。


契約は民法上の「準委任契約」に該当し、システムや成果物の完成義務を負わず、エンジニアの稼働時間(工数)に対して報酬が支払われます。そのため、プロジェクトが途中で終了した場合でも、それまでの稼働分の報酬は発生します。

また、クライアント企業にはエンジニアへの直接の指揮命令権がなく、指示はSES企業を通じて行われる点が派遣契約との大きな違いであり、偽装請負を避けるうえで重要なポイントです。


SES企業への転職を検討する際は、契約形態が適正かどうかを確認することが大切です。

SESの働き方|客先常駐の実態

SESエンジニアの働き方は、クライアント企業のオフィスに常駐して業務を行う「客先常駐」が基本です。


自社オフィスではなくプロジェクト先の環境で仕事をするため、常駐先が変わるたびに職場環境や一緒に働くメンバーが変わり、1つの現場に数ヶ月から数年程度常駐した後に次の案件へ移るサイクルが一般的です。


さまざまな企業の開発現場を経験でき、多様な技術スタックに触れられるメリットがある一方、常駐先によって労働環境が大きく異なるため「案件ガチャ」と呼ばれる当たり外れが生じやすい面もあります。

常駐先の雰囲気や業務内容は事前に確認しづらいため、営業担当者との密なコミュニケーションが重要であり、希望する技術領域や働き方を明確に伝えることが求められます。

SESの年収目安

区分

年収目安

未経験1年目

250万〜320万円

20代

350万〜400万円

30代

450万〜500万円

全体相場

350万〜450万円

SESエンジニアの年収がやや低めになる理由として、IT業界特有の多重下請け構造が挙げられます。元請けから二次請け、三次請けと仕事が流れるたびに中間マージンが発生し、エンジニアへの還元額が減少します。

また、SES企業によって還元率が異なるため、同じスキルでも所属企業によって年収に差が生じます。年収アップを目指すなら、還元率の高い企業を選ぶか、高単価案件へのアサインを目指すことが有効です。

2.SIerとは?システムインテグレーターの基本

この章では、SIerの定義と契約形態、種類、年収の目安を解説します。SIerの特徴を理解することで、SESとの違いがより明確になります。

SIerの定義と契約形態(請負契約)

SIerとは「System Integrator」の略称で、クライアントのシステム開発を要件定義から運用・保守まで一括で請け負う企業です。契約形態は主に「請負契約」であり、成果物(完成したシステム)の納品に対して報酬が支払われ、納期までの完

成義務と不具合修正の責任を負います。そのため、SIerにはプロジェクト全体の品質や進捗を管理するプロジェクトマネジメント能力が求められます。

大規模なシステム開発では、元請けのSIerが全体を統括し、開発やテストなどの工程を下請け企業(SES企業を含む)に外注するケースが一般的です。元請けSIerは上流工程(要件定義・設計)、下請けは下流工程(実装・テスト)を担当する傾向があり、

キャリアを考える際はこの構造の理解が重要です。

SIerの種類|メーカー系・ユーザー系・独立系・外資系

SIerは、成り立ちや親会社との関係によって「メーカー系」「ユーザー系」「独立系」「外資系」の4種類に分類され、それぞれ案件の傾向や働き方が異なります。

種類

特徴

代表的な企業

メーカー系

ハードウェアメーカーのIT部門が独立した企業。親会社製品との連携に強み

富士通、NEC、日立製作所

ユーザー系

金融・商社など事業会社のIT部門が分社化した企業。親会社のシステム開発が中心

野村総合研究所、NTTデータ、伊藤忠テクノソリューションズ

独立系

特定の親会社を持たず、幅広い顧客にサービスを提供

富士ソフト、大塚商会、TIS

外資系

海外に本社を置くグローバル企業。最新技術や高い報酬水準が特徴

アクセンチュア、日本IBM、日本マイクロソフト

メーカー系・ユーザー系は親会社案件が中心で経営が安定している一方、独立系は特定の親会社を持たないため幅広い業界の案件に携われます。


外資系は成果主義の傾向が強く高い年収を目指せる反面、成果に応じた競争も激しい環境です。転職先を選ぶ際は、それぞれの特徴を踏まえて自分の志向に合った種類を検討することが大切です。

SIerの年収目安

SIerの年収は企業規模や種類によって大きく異なり、大手SIerでは平均年収800万〜1,000万円を超える企業も少なくありません。


厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、システムエンジニアの平均年収は約515万〜550万円程度であり、大手SIerはこれを大きく上回る水準です。

種類

平均年収の目安

特徴

大手ユーザー系

900万〜1,200万円

野村総研は平均年収1,242万円など

大手メーカー系

800万〜1,000万円

富士通965万円、日立935万円など

独立系(大手)

600万〜800万円

TIS、富士ソフトなど

中堅SIer

500万〜700万円

企業規模により幅がある

大手SIerの年収が高い理由として、元請けとしてプロジェクトを受注できること、コンサルティングなど付加価値の高いサービスを提供できることが挙げられます。一方、中小規模のSIerでは年収がSESと同程度になるケースもあるため、企業選びの際は具体的な年収水準を確認することをおすすめします。

3.SESとSIerの違いを比較

この章では、SESとSIerの具体的な違いを5つの観点から比較します。両者の違いを正確に理解することで、自分に合った選択ができるようになります。

契約形態の違い|準委任契約と請負契約

SESとSIerの最も根本的な違いは契約形態にあり、SESは「準委任契約」、SIerは「請負契約」が一般的で、報酬の発生条件や責任範囲が大きく異なります。

項目

SES(準委任契約)

SIer(請負契約)

報酬の対象

労働時間・工数

成果物(完成したシステム)

完成義務

なし

あり

瑕疵担保責任

なし

あり(不具合の修正義務)

契約期間

一定期間の労働力提供

納品完了まで

準委任契約のSESでは、エンジニアの稼働時間に対して報酬が発生するため、プロジェクトが途中で終了しても稼働分の報酬は得られます。


一方、請負契約のSIerは成果物の完成が求められ、納期遅延や品質問題が発生した場合は追加コストが生じるリスクがあります。エンジニア個人の視点では、SESは成果責任を負わない分プレッシャーが少なく、SIerはプロジェクト全体の成功に貢献する達成感を得やすいという違いがあります。

指揮命令権の違い

SESとSIerでは業務における指揮命令の仕組みが異なり、この違いを理解していないと現場でトラブルに巻き込まれる可能性があるため注意が必要です。


SES(準委任契約)では指揮命令権はエンジニアが所属するSES企業側にあり、クライアント企業がSESエンジニアに直接業務指示を出すことは契約上認められていません。クライアント企業がSESエンジニアに直接指示を出している場合は「偽装請負」として違法となる可能性があります。

一方、SIerでは自社の社員として業務を行うため、上司やプロジェクトマネージャーから直接指示を受けます。SIerがSES企業からエンジニアを受け入れる場合は、SES企業に対して業務依頼を行い、個々のエンジニアへの直接指示は避ける運用が求められます。

担当工程の違い|上流と下流

SESとSIerではシステム開発において担当する工程が異なる傾向にあり、一般的にSIerは上流工程、SESは下流工程を担当することが多いとされています。

工程

SIer

SES

要件定義

○(主に担当)

△(一部参加の場合あり)

基本設計

○(主に担当)

詳細設計

開発・実装

△(外注が多い)

○(主に担当)

テスト

○(主に担当)

運用・保守

元請けのSIerはクライアントとの折衝や要件定義、全体設計を担当し、実際の開発やテストは下請け企業に外注するケースが多くなります。SESエンジニアは開発やテストなどの実装フェーズに携わる機会が多く、プログラミングスキルを磨きやすい環境です。

ただし、これはあくまで傾向であり、SIerでも実装を自社で行う企業や、SESでも上流工程に参加できる案件も存在するため、自分が担当したい工程を明確にしたうえで企業や案件を選ぶことが重要です。

年収・待遇の違い

SESとSIerの年収には明確な差があり、一般的にSIerの方が高い傾向にあります。

項目

SES

SIer

平均年収

350万〜450万円

500万〜800万円(大手は900万円以上)

年収の上がり方

緩やか

経験・役職に応じて上昇しやすい

福利厚生

企業による差が大きい

大手は充実している傾向

賞与

企業による(ない場合も)

年2回支給が一般的

SESの年収が相対的に低くなる主な理由は、多重下請け構造による中間マージンの発生です。


元請け企業から支払われる報酬が複数の企業を経由するうちに目減りしていく仕組みがあり、SES企業の還元率(エンジニアへの配分比率)によっても手取り額は変動します。


SIerは元請けとしてプロジェクトを受注できるため利益率が高く、社員への還元も手厚くなる傾向があります。年収を重視する場合は、大手SIerや還元率の高いSES企業を選ぶことがポイントです。

働き方・勤務場所の違い

SESとSIerでは日常の働き方や勤務場所に違いがあります。SESエンジニアは客先常駐が基本で、勤務場所はプロジェクトごとに変わり、常駐先の企業文化やルールに合わせて働く必要があります。

通勤先が頻繁に変わるため柔軟な対応力が求められる一方、プロジェクト単位で人間関係がリセットされるメリットもあります。


SIerは自社オフィス勤務が多いですが、大規模プロジェクトではクライアント先に常駐することもあり、同じメンバーと長期的に働くためチームの一体感を感じやすい反面、人間関係が固定されやすい側面もあります。働き方の希望を明確にしたうえで企業や案件を選ぶことが大切です。

4.SESで働くメリット・デメリット

この章では、SESで働くメリットとデメリットを具体的に解説します。SESへの転職や就職を検討している方は、良い面だけでなく注意点も把握しておきましょう。

SESのメリット

SESには、多様な経験を積める環境やキャリアの始めやすさという観点から、エンジニアにとって魅力的なメリットがあります。

多様な現場・技術を経験できる

SESで働く最大のメリットは、複数のプロジェクトや企業で多様な経験を積めることです。


常駐先が変わるたびに異なる技術スタック、開発手法、業界知識に触れられるため、幅広いスキルを身につけやすい環境です。1つの企業に所属しながらさまざまな現場を経験できるのはSESならではの強みであり、将来的に独立やフリーランスを目指す方にとっては大きな財産になります。

未経験でも採用されやすい

SESは未経験者にとって、ITエンジニアとしてのキャリアをスタートさせやすい環境です。


多くのSES企業が未経験者向けの研修制度を設けており、プログラミングの基礎からビジネスマナーまで学んでから現場に配属されます。IT人材の慢性的な不足を背景に、文系出身者や異業種からの転職者でも意欲とポテンシャルがあれば採用される可能性があります。

残業が少なく人間関係をリセットしやすい

SESは準委任契約で成果物の完成義務がないため、納期に追われて長時間残業が続く状況になりにくい傾向があります。


また、常駐先が定期的に変わるため人間関係をリセットしやすく、職場の人間関係に悩んでもプロジェクト終了とともに環境が変わります。常駐先によっては残業が多い案件もありますが、契約形態上は時間管理がしやすい働き方です。

SESのデメリット

SESには、案件の選択肢やキャリア形成、年収面において注意すべきデメリットもあります。

案件の当たり外れがある(案件ガチャ)

SESで働くうえで避けて通れないのが、いわゆる「案件ガチャ」と呼ばれる問題です。

配属される案件によって労働環境や業務内容、成長機会が大きく異なるため、自分の希望と合わない現場に配属されるリスクがあります。

案件の内容は営業担当者の交渉力やSES企業の取引先によっても左右されるため、入社前に案件の傾向や希望が通るかを確認しておくことが重要です。

スキルや経験が偏りやすい

SESでは配属される案件によって担当業務が限定されるため、スキルや経験が偏りやすいデメリットがあります。


同じような案件に繰り返しアサインされると特定の技術や工程しか経験できず、エンジニアとしての市場価値が上がりにくくなる場合があります。スキルの偏りを防ぐには、自分から学習時間を確保したり、異なる技術領域の案件を希望したりする主体性が求められます。

年収が上がりにくい構造がある

SESには構造的に年収が上がりにくい仕組みが存在します。多重下請け構造の影響で、元請け企業から支払われる報酬が複数の企業を経由するうちに減少し、エンジニアの手元に届く金額が少なくなります。

また、SES企業の還元率は企業によって大きく異なり、成果ではなく稼働時間で報酬が決まるため高いパフォーマンスを発揮しても年収に反映されにくい面があります。

5.SIerで働くメリット・デメリット

この章では、SIerで働くメリットとデメリットを具体的に解説します。SIerへの転職や就職を検討している方は、自分のキャリア目標と照らし合わせて確認してください。

SIerのメリット

SIerには、大規模案件への参画やマネジメントスキルの習得、安定した待遇という観点から、エンジニアにとって魅力的なメリットがあります。

大規模案件や上流工程に携われる

SIerで働く大きなメリットは、金融機関の基幹システムや官公庁のインフラなど、社会的影響力の大きいプロジェクトに携われることです。


元請けのSIerでは要件定義や基本設計といった上流工程を担当するケースが多く、クライアントとの折衝やシステム全体の設計に関われます。上流工程の経験はプロジェクトマネージャーやITコンサルタントへのキャリアアップに直結するため、長期的なキャリア形成を考える方には大きなメリットです。

PMやマネジメントスキルが身につく

SIerではプロジェクト全体を統括する立場で仕事をすることが多く、スケジュール管理やリスク管理、チームマネジメントなどのPMスキルが身につきやすい環境です。


大規模プロジェクトでは社内外の多くのステークホルダーと連携するため、調整力や交渉力も自然と鍛えることができます。マネジメント経験は転職市場でも高く評価されるため、キャリアの選択肢を広げることにもなります。

経営が安定し福利厚生が充実している企業が多い

大手SIerは経営基盤が安定しており、福利厚生が充実している企業が多いという特徴があります。


住宅手当や退職金制度、資格取得支援、研修制度など具体的な制度が整備されており、スキルアップの機会も豊富です。長期的に安定したキャリアを築きたい方や福利厚生を重視する方にとって、大手SIerは魅力的な選択肢です。

SIerのデメリット

SIerには、業界構造や担当業務、働き方において注意すべきデメリットもあります。

多重下請け構造の影響を受けやすい

SIer業界は多重下請け構造が根強く、下請けのSIerとして働く場合はSESと同様の課題に直面することがあります。


二次請け・三次請けの立場では上流工程に関わる機会が限られ、利益率も低くなりがちです。企業選びの際は、元請け案件の割合やプロジェクトへの参画立場を確認することが重要です。

担当範囲が限定され技術が偏る場合がある

大手SIerでは大規模プロジェクトに多くのメンバーが参加するため、一人ひとりの担当範囲が細分化され、幅広い技術スキルが身につきにくい場合があります。


開発作業を下請けに外注することが多いため、自分でコードを書く機会が減りプログラミングスキルが向上しにくいという課題もあります。実装スキルを維持・向上させたい場合は、業務外での学習など自ら機会を作る工夫が必要です。

納期プレッシャーで激務になりやすい

SIerは請負契約で成果物の完成義務を負うため、納期に向けたプレッシャーが強くなりがちです。


大規模プロジェクトでは仕様変更やトラブル対応が重なると、長時間残業や休日出勤が続く激務の状態に陥ることがあります。ワークライフバランスを重視する方は、入社前に残業時間の実態やプロジェクト管理の体制を確認しておくことをおすすめします。

6.SESとSIerどっちがいい?向いている人の特徴

この章では、SESとSIerそれぞれに向いている人の特徴を解説します。自分の志向やキャリア目標と照らし合わせて、どちらが合っているか考える参考にしてください。

SESが向いている人

SESには、多様な経験を積みやすい環境や未経験からの参入しやすさなど、キャリアの柔軟性を重視するエンジニアに適した特徴があります。

さまざまな技術・現場を経験したい人

SESは常駐先が変わるたびに新しい環境で働くため、多様な技術や現場を経験したい人に向いています。


特定の技術に絞らず、さまざまな業界のシステムに触れたい方にはSESの働き方がマッチします。また、複数の現場を経験することで自分に合った技術領域や働き方を見つけやすくなり、キャリアの方向性がまだ定まっていない方にも有効な選択肢です。

未経験からエンジニアを目指したい人

IT業界未経験からエンジニアを目指す場合、SESは現実的な選択肢の一つです。多くのSES企業が未経験者向けの研修制度を整備しており、プログラミングの基礎から学べます。

一方、SIerの大手企業は新卒や経験者採用が中心で、未経験者の中途入社はハードルが高い傾向にあります。SESで実務経験を積んでスキルを身につけてからSIerや自社開発企業にステップアップするキャリアパスも一般的です。

ワークライフバランスを重視したい人

SESは準委任契約で成果物の完成義務がないため、契約で定められた時間内での業務遂行が基本となります。納期に追われて長時間残業が続く状況になりにくく、ワークライフバランスを重視したい方に適した働き方です。

常駐先によっては忙しい案件もありますが、全体としてSIerの請負案件より時間管理がしやすい傾向にあり、プライベートや副業、自己学習に時間を充てたい方に向いています。

SIerが向いている人

SIerには、上流工程への関与や大規模プロジェクトへの参画機会など、キャリアアップや安定性を重視するエンジニアに適した特徴があります。

上流工程やPMを目指したい人

将来的にプロジェクトマネージャー(PM)やITコンサルタントを目指したい人には、SIerが向いています。元請けのSIerでは要件定義や基本設計などの上流工程に携わる機会が多く、クライアントとの折衝やプロジェクト全体のマネジメント経験を積めます。


上流工程の経験はPMやITコンサルタントへのキャリアアップに不可欠であり、ビジネス視点でシステムを設計する力やステークホルダーを調整する力を身につけたい方にとって、SIerでの経験は大きな武器になります。

大規模プロジェクトに携わりたい人

大規模なシステム開発に携わりたい人には、SIerが適しています。金融機関の基幹システムや官公庁のインフラシステムなど、社会的影響力の大きいプロジェクトに参加できるのはSIerならではの魅力です。

数百人規模のプロジェクトで複数の企業と連携しながら大きなシステムを作り上げる経験は、他では得られない貴重なものであり、スケールの大きな仕事にやりがいを感じる方や社会貢献を重視する方に向いています。

安定した環境・福利厚生を重視したい人

安定した環境で長く働きたい方や福利厚生を重視する方には、大手SIerが向いています。大手SIerは経営基盤が安定しており、住宅手当や退職金制度、研修制度など充実した福利厚生を提供している企業が多くあります。

年功序列的な昇給制度を維持している企業もあり、長期的に収入が安定しやすい傾向があるため、家族を持つ方や長期的なキャリアを考える方には安心感のある選択肢です。

未経験からエンジニアを目指す場合の選び方

未経験からエンジニアを目指す場合、SESは最初の一歩として入りやすい傾向にありますが、長期的なキャリアを考えると入社後のステップアップも視野に入れた計画が必要です。一般的には、SESで1〜3年程度の実務経験を積んで基礎的なスキルと実績を身に

つけた後、SIerや自社開発企業へ転職するパターンがあります。SES時代にどのような案件を経験し、どのようなスキルを身につけたかが次のステップでの評価に直結するため、案件選びが重要です。

SESを選ぶ際は、研修制度の充実度、案件の質、還元率などを比較検討しましょう。将来SIerへの転職を目指す場合、上流工程の経験や需要の高い技術スキルの習得を意識することが大切です。

7.「やめとけ」は本当?SESとSIerの注意点

この章では、「SESやめとけ」「SIerやめとけ」と言われる理由と、優良企業の見分け方を解説します。ネガティブな評判の背景を理解することで、より良い企業選びができるようになります。

SESが「やめとけ」と言われる理由

「SESはやめとけ」と言われる主な理由は、年収が上がりにくいこと、案件の当たり外れがあること、スキルが身につきにくい案件に配属されるリスクがあることです。

特に多重下請け構造の末端に位置する企業では、単価の低い案件ばかり担当させられ、キャリアアップが難しい状況に陥る可能性があります。


ただし、これらの問題はすべてのSES企業に当てはまるわけではなく、優良企業ではエンジニアの希望を尊重した案件配属や適正な還元率を提供しているため、企業選びを慎重に行うことで回避できるリスクも多くあります。

SIerが「やめとけ」と言われる理由

SIerが「やめとけ」と言われる主な理由は、激務になりやすいこと、多重下請け構造の影響を受けること、技術力が向上しにくいことです。請負契約の特性上、納期厳守のプレッシャーが強く、炎上プロジェクトに巻き込まれると長時間残業や休日出勤が続く状況になることがあります。


また、元請けのSIerでも開発を外注するケースが多いため、自分でコードを書く機会が減り、技術者としての成長が鈍化するリスクがあります。これらの問題を避けるためには、企業の特性や仕事内容を事前に十分調査することが重要です。

優良企業の見分け方とは?

SESでもSIerでも、優良企業を見分けることが満足度の高いキャリアを築くコツです。

以下のポイントを確認することで、自分に合わない企業を避けやすくなります。

  • SES企業を見分けるポイント

  • 還元率が明示されているか(70%以上が目安)

  • 案件の内容や常駐先を事前に確認できるか

  • エンジニアの希望を聞いてくれる体制があるか

  • 研修制度やスキルアップ支援が充実しているか

  • SIer企業を見分けるポイント

  • 元請け案件の割合が高いか

  • 平均残業時間や有給取得率の実態

  • 配属先や担当プロジェクトの希望が通るか

  • 教育制度やキャリアパスが明確か

転職エージェントを活用すると企業の内部情報を教えてもらえることがあり、複数の情報源から実態を調べて面接時に具体的な質問をすることでミスマッチを防げます。

8.SESとSIerの将来性

この章では、SESとSIerそれぞれの将来性について解説します。IT業界の動向を踏まえたうえで、キャリアプランを考える参考にしてください。

SESの将来性

SESの将来性はIT人材の需要動向と業界構造の変化に左右されます。経済産業省の調査によると、2030年には最大79万人のIT人材が不足すると予測されており、エンジニアの需要は今後も高い水準で推移する見込みです。

DX推進により企業のIT投資は拡大傾向にあり、システム開発や運用保守の需要も増加しています。そのため、SESのビジネスモデル自体は当面継続し、SESエンジニアの活躍の場は今後も確保されます。

ただし、単純な開発作業やテストはオフショアや自動化ツールに置き換わる可能性があり、スキルアップを続けないと市場価値が低下するリスクがあります。クラウド、AI、セキュリティなど需要の高い技術を習得し、自分の市場価値を高めていく努力が求められます。

SIerの将来性

SIerの将来性はDX需要の拡大により当面堅調に推移する見込みです。企業のデジタル化やクラウド移行のニーズは高く、特に金融や公共分野の大規模システムでは引き続きSIerが中心的な役割を担います。

一方で、クラウドサービスの普及でスクラッチ開発からSaaS活用へニーズがシフトし、アジャイル開発の浸透でウォーターフォール型SIerは対応を迫られています。


大手SIerはコンサルティング機能の強化やデジタル領域への投資を進め、受託開発から付加価値の高いサービスへと事業モデルを転換しています。

エンジニアも開発スキルだけでなくビジネス視点やコンサルティング能力が求められ、技術トレンドを追い続けて自己研鑽を怠らないことが長期的な活躍の条件です。

9.まとめ

SESとSIerの違いについて、本記事では契約形態や働き方、年収、メリット・デメリット、向いている人の特徴、そして将来性まで幅広く解説してきました。どちらが良いかは一概には言えず、自身のキャリア目標や働き方の志向に合った選択をすることが重要です。


これからキャリアを検討する方は、「多様な技術や現場を経験したいのか」や「上流工程やPMを目指したいのか、」などまず自身が何を重視するのかを明確にすることから始めましょう。


どちらを選ぶ場合も、企業によって待遇や環境は大きく異なります。還元率や案件の質、研修制度、残業実態などを事前に確認し、複数の企業を比較検討しましょう。
さらに、転職エージェントを活用すると企業の内部情報を得やすくなり、ミスマッチを防ぐことができます。


IT人材の需要は今後も高まり続けると予測されており、SESもSIerも将来性のある選択肢です。自身に合った環境で経験を積み、スキルアップを続けることで、エンジニアとしての市場価値を高めていきましょう。


本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。

SESとSIerの違いとは?どっちがいい?年収・働き方・やめとけの真相や優良企業の見分け方を解説に関するよくある質問

SESで用いられる準委任契約とは、エンジニアの労働力に対して報酬が支払われる形態です。請負契約とは異なりシステム完成の義務や不具合修正の責任を負わないため、実際に稼働した工数に基づいた対価が支払われる仕組みとなっています。
はい、SESの準委任契約では指揮命令権が自社にあるため、常駐先の顧客から直接指示を受けることは「偽装請負」として法律で禁止されています。適正な運用では、具体的な指示は所属するSES企業を通じて行われる必要がある点に注意が必要です。
SIerとは顧客のシステム開発を要件定義から運用まで一括で請け負う企業です。主に請負契約を結び成果物の納品に対して報酬を得るため、完成義務と不具合修正の責任を負います。そのためプロジェクトを統括する高い管理能力が求められます。
一般的にSIerは要件定義や設計などの上流工程を、SESはプログラミングやテストなどの実装工程を担当する傾向があります。ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、企業や案件によってはSESでも上流工程に参画できるケースも存在します。
SIerは元請けとして直接受注するため利益率が高い一方、SESは多重下請け構造の中で中間マージンが発生し還元額が減りやすいためです。またSIerは付加価値の高い上流工程を担当することも高年収の理由の一つに挙げられます。
最大のメリットは短期間で複数の企業の現場を経験でき、多様な技術スタックや開発手法に触れられる点です。一つの会社にいながら幅広い業界の開発に携われる環境は、将来的に独立やフリーランスを目指す方にとっても非常に大きな財産となります。
請負契約のため完成義務があり、納期直前やトラブル発生時に長時間残業などの激務になりやすい点がデメリットです。また開発を外部に委託することが多いため実務でコードを書く機会が減り、実装スキルが向上しにくいという課題も存在します。
未経験者にはSESが適しています。多くの企業が研修制度を整えており、ポテンシャル重視の採用が多いからです。まずはSESで実務経験を積んでスキルを磨き、その後に上流工程を担うSIerや自社開発企業へステップアップするのが一般的です。
エンジニアへの還元率が70%以上か、案件の内容を事前に確認できるかが重要です。また、エンジニアの希望を聞く体制があり研修制度や支援が充実している企業を選ぶことで、スキルが身につきにくい案件に配属されるといったリスクを回避できます。
DX推進によりIT投資が拡大し人材不足が予測されるため、需要は今後も高い水準で推移する見込みです。ただし、単純な作業は自動化される可能性があるため、クラウドやAIなどの最新技術を習得し続け、市場価値を高める努力が常に求められます。

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SES Labo 編集部
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