
SES請求書はエクセルの管理で十分か?作成手順から課題解決におすすめのSES管理システム5選まで解説
- SESの請求管理では、精算幅の複雑な計算ミスや請求漏れを防ぐことが、健全な経営の維持に繋がります。
- 勤怠回収と請求発行を一気通貫で自動化できるシステムを導入すれば、毎月の事務負担を劇的に軽減可能です。
- インボイス制度や電子帳簿保存法への対応は、機能を標準搭載した専用ツールを使うことで大幅に効率化できます。
- Excelによる手動管理は規模拡大時に限界を迎えるため、専用システムによる一元管理が非常に有効です。
- 更新アラート機能を活用して契約の見落としを防止することで、営業の機会損失を防ぎ、稼働率を最大化できます。
SES事業において、毎月の請求書作成は売上を確定させるための重要な業務です。
多くの企業が導入コストのかからないエクセルを利用していますが、取引先やエンジニアが増えるにつれて「計算ミスが起きる」「過去の履歴が追えない」「法対応が手間」といった悩みは多いのではないでしょうか。実際、エクセルでの管理にはどの程度の限界があるのでしょうか。
本記事では、SES請求書をエクセルで作成する具体的な手順や計算式から、管理上の課題、そしてそれらを解決するSES管理システムの選び方までわかりやすく解説します。
正しいエクセル運用を知りたい方から、システムによる効率化を目指す方まで、自社の状況に合わせた最適な管理方法を見つける手引きとしてご一読ください。
1.SES管理システムとは
この章では、SES管理システムの基本的な役割と、エクセル管理との違い、システムで実現できることを解説します。
SES契約における請求書の役割
SES契約の請求書は、エンジニアの稼働実績に基づいて報酬を正確に請求するための書類です。SES契約では月額単価に加えて「精算幅」と呼ばれる稼働時間の上限・下限が設定されており、実際の稼働時間によって超過精算や控除精算が発生します。
請求書には基本単価・稼働時間・超過控除金額・消費税・インボイス対応時の適格請求書発行事業者番号を正確に記載する必要があり、記載ミスは信頼関係や回収に影響します。
そのため正確な作成がSES事業の収益管理に欠かせません。
エクセル管理とシステム管理の違い
エクセルとSES管理システムでは業務効率や正確性に大きな差があります。
エクセルは導入コストがかからず自由度の高いフォーマットを作成できます。ただし契約件数が増えると「ファイルが分散して管理しづらい」「複数人の同時編集でデータが競合する」「セルのコピーミスで金額が狂う」などの問題が出てきます。
一方でSES管理システムは契約情報を一元管理し請求書を自動生成でき、契約更新アラートや勤怠連携など、人的ミス削減とエクセルにはない機能を備えています。
事業規模や契約件数に応じて適切な管理方法を選ぶことが重要です。
SES管理システムでできること
SES管理システムでは、契約・請求・勤怠・営業を一元的に管理できます。主な機能として、契約情報の登録・更新、稼働実績に基づく請求書の自動生成、超過・控除金額の自動計算、帳票発行、契約更新のアラート通知などがあります。
また勤怠回収機能を備えたシステムでは、エンジニアの勤怠報告をクラウド上で集約し請求書作成まで連携できます。なお売上・仕入れ・利益の管理や、取引先別・エンジニア別の分析レポート機能を持つシステムもあり、経営判断に必要なデータをリアルタイムで確認できます。
2.SES請求書をエクセルで作成する方法
この章では、SES請求書に必要な項目設定から精算幅の計算、インボイス対応までの手順を解説します。
請求書テンプレートの基本項目を設定する
SES請求書には、請求書番号・発行日・請求先と請求元の情報・件名・請求対象期間・基本単価・稼働時間・超過控除金額・小計・消費税額・合計金額・振込先口座情報を漏れなく設定します。
また2023年10月開始のインボイス制度に対応するには、適格請求書発行事業者の登録番号・適用税率ごとの対価の合計額・税率ごとに区分した消費税額の記載も必要です。
エクセルでテンプレートを作成する際は、これらの項目をセルに配置して計算式を設定すると、稼働時間を入力するだけで請求金額が自動算出される仕組みを構築できます。
精算幅(超過・控除)を関数で計算する
精算幅の計算は、SES請求書作成で一番間違いやすいポイントです。精算幅とは月額単価に対する基準稼働時間の上限・下限を定めたもので、一般的には「140~180時間」のように設定されます。
計算方法には「上下割」と「中間割」の2種類があります。
計算方法 |
超過単価 |
控除単価 |
|---|---|---|
上下割 |
月額単価 ÷ 上限時間 |
月額単価 ÷ 下限時間 |
中間割 |
月額単価 ÷ 中間値 |
月額単価 ÷ 中間値 |
たとえば月額60万円・精算幅140~180時間の場合、それぞれの単価は以下のとおりです。
計算方法 |
超過単価 |
控除単価 |
|---|---|---|
上下割 |
3,333円(60万÷180) |
4,285円(60万÷140) |
中間割 |
3,750円(60万÷160) |
3,750円(60万÷160) |
エクセルではIF関数を使い、実稼働時間が上限超過なら超過精算、下限未満なら控除精算を自動計算する数式を組むと、手計算のミスを防げます。
インボイス制度に対応したフォーマットで作成する
2023年10月施行のインボイス制度に対応した請求書フォーマットの整備が必要です。
適格請求書として認められるには、従来の項目に加えて適格請求書発行事業者の登録番号(T+13桁の数字)・税率ごとに区分した対価の額の合計・税率ごとに区分した消費税額を明記します。
エクセルでフォーマットを作成する際は、10%と8%(軽減税率対象がある場合)の税率別に集計できるセルを用意し、SUMIF関数などで自動集計する仕組みを構築します。
なお請求書の控えは7年間保存する義務があるため、ファイル名に発行日・取引先名・金額を含めるなど電子帳簿保存法の検索要件を満たす命名規則を設けておくと管理しやすくなります。
3.エクセルでSES請求書を管理する際の課題
この章では、エクセル管理における請求ミス、履歴管理、法令対応の3つの課題を取り上げます。
手入力による請求漏れや計算ミスが発生しやすい
エクセル管理では、契約件数が増えると請求対象の見落としや前月請求書のコピー後の金額修正忘れが起きやすくなります。特に精算幅の計算は複雑で、上下割と中間割の適用間違いや端数処理ルール(10円未満切り捨てなど)の取り違えがあると請求金額に差異が生じます。
またセルの参照先がずれたまま請求書を発行してしまうリスクもあり、これらのミスは取引先からの信頼低下や差額の再請求・返金処理といった追加業務につながります。
そのため契約件数が50件を超えるあたりからエクセル管理の限界を感じる企業が多くなっています。
契約更新・単価変更の履歴管理が難しい
エクセルでは契約内容の変更履歴を体系的に管理しにくい構造があります。
SES契約は通常1~3ヶ月単位で更新され、その都度契約期間・単価・精算条件が変わることがありますが、新シート作成やセル上書きでは「いつ」「誰が」「何を」変更したかが残りません。
そのため過去の契約条件を確認したいときにファイルの捜索や誤った条件での請求書作成などが発生します。また契約更新時期を確認するには別途カレンダーやタスク管理ツールの併用が必要となり、管理工数が増え、見落としは売上機会の損失に直結します。
電子帳簿保存法への対応負荷が大きい
2024年1月から電子取引データの電子保存が完全義務化され、メールやクラウド経由でやり取りした請求書は電子データのまま保存する必要があります。
保存する場合「真実性の確保」と「可視性の確保」の要件を満たす必要があり、タイムスタンプの付与または訂正・削除履歴が残るシステムの利用、取引年月日・取引先・取引金額での検索機能の確保が必要です。
エクセルで作成した請求書をPDF化して保存する場合、ファイル名に検索項目を含めるルールの徹底や索引簿の別途作成が必要です。そのため法令対応を自動化できるシステムへの移行を検討する企業が増えています。
4.SES管理システムの選び方
この章では、自社の課題に合わせたシステムタイプの選び方として、3つの切り口を紹介します。
契約管理・請求管理に対応するタイプを選ぶ
契約締結から請求書発行までを効率化したい場合は、契約管理・請求管理に強いタイプを選びます。このタイプは契約情報を登録すると見積書・注文書・請求書を自動生成でき、SES特有の精算幅(超過・控除)の自動計算機能で計算ミスを軽減できます。
また契約ステータス管理や更新時期のアラート機能で契約の見落としを防止できます。インボイス制度や電子帳簿保存法対応の帳票フォーマットを標準搭載したシステムを選ぶと法令対応の手間も省けます。そのため、契約・請求周りの課題をまず解決したい企業に適しています。
勤怠管理にも対応するタイプを選ぶ
勤怠データの回収から請求書作成までを一気通貫で行いたい場合は、勤怠管理機能を備えたタイプが適しています。このタイプはエンジニアが専用画面から勤怠情報を入力するとそのデータが請求書に自動反映される仕組みを持っています。
そのため月末の勤怠表回収作業を半自動化でき、管理担当者の負担を軽減できます。また残業時間の超過や有給休暇の消化状況をリアルタイムで確認できるシステムもあり、労務管理の面でもメリットがあります。
エンジニアの人数が多く毎月の勤怠回収に時間を取られている企業には、導入効果を実感しやすいタイプです。
営業支援にも対応するタイプを選ぶ
契約管理に加えて営業活動の効率化したい場合、営業支援機能を持つタイプを検討しましょう。このタイプは案件情報の管理・エンジニアと案件のマッチング・提案状況のステータス管理・営業成績のレポート機能などがあります。
また営業担当者ごとのKPI管理や次に取るべきアクションの自動表示機能を持つシステムもあり、営業未経験者でも効率的に活動できます。
なお要員提案メールの一斉送信機能やスキルシートの自動生成機能を持つものもあります。SES事業の拡大フェーズにあり営業力強化と業務効率化を同時に進めたい企業に適しています。
5.SES管理システムの比較ポイント
この章では、請求書発行機能、契約更新支援、他システム連携の3つの観点から比較のポイントを解説します。
請求書発行機能の対応範囲は十分か
請求書発行機能の対応範囲は、システム選定で最も重要な比較ポイントの一つです。
確認項目として、精算幅(超過・控除)の自動計算で上下割・中間割の両方に対応しているか、端数処理ルールを設定できるかがあります。
またSES特有の複雑なケースとして途中入退場による日割計算・複数契約の合算請求・交通費などの経費精算の上乗せに対応できるかも確認しましょう。
インボイス制度対応では適格請求書発行事業者番号の自動反映や税率別の消費税額表示ができるかを確認すると良いでしょう。なお、請求書の送付方法(メール一括送信・PDF出力など)や入金消込機能の有無も業務効率に影響することを念頭に置いておきましょう。
契約更新支援機能は充実しているか
契約更新の見落としを防ぐ支援機能が充実しているかも重要な比較ポイントです。SES契約は短期間で更新されることが多く、更新時期を見逃すと売上機会の損失につながります。
確認すべき機能として、今月・来月に終了予定の契約の一覧表示、更新時期が近づいた際のアラート通知、延長確認メールの一括送信があります。また契約更新時に前回の条件を引き継いで新規契約を作成できる機能があると入力の手間が省けます。
なお契約ごとの履歴(過去の単価・精算条件・契約期間など)を時系列で確認できる機能は単価交渉時の参考にも活用でき、更新確認の進捗を担当者別に確認できるシステムもチーム管理に有効です。
他システムとの連携や拡張性は十分か
既存システムとの連携や将来的な拡張性も、長期運用を行ううえで重要なポイントです。会計システムとの連携可否を確認し、請求データをCSVやAPI経由で会計ソフトにエクスポートできると二重入力の手間を削減できます。
また勤怠管理システムや人事システムとの連携可否も確認し、既に導入しているシステムがある場合はデータ連携できるかで導入効果も大きく変わります。
外部の集客媒体(求人サイトなど)との連携機能を持つシステムもあり、応募データを自動で取り込めると営業効率が向上します。将来的に事業規模が拡大した場合のスケーラビリティや機能追加のロードマップも導入前に確認しておくことをおすすめします。
6.おすすめのSES管理システム・ツール5選
この章では、契約・請求業務を効率化できる代表的なSES管理システムを5つ紹介します。
FreelanceBase(フリーランスベース)
(出典:https://freelancebase.jp/)
FreelanceBase(フリーランスベース)
は、フリーランスエージェント・SES企業向けの顧客管理ツールです。契約・請求業務の効率化、人材管理・タレントプール構築、進捗管理の3領域を網羅しており、事業運営に必要な機能をワンストップで提供しています。
集客から契約・請求・支払までの業務をひとつのツールで管理でき、案件概要の自動作成機能で営業担当者の負担を軽減します。商談管理機能では提案から成約までの流れを可視化でき、進捗状況を組織全体で共有できます。応募対応の自動化機能により、案件サイトからの応募に対して人材属性を判断し、24時間自動で対応することも可能です。
ノーコードでSEO対策済みの自社案件サイトを構築でき、「フリーランスボード
」などの外部集客媒体との連携で人材獲得から契約管理まで一貫して進められます。また、案件データベース「エンジニアダッシュ
」で200件以上のエンド案件に直接提案でき、新規開拓の営業工数削減と売上向上が期待できます。
契約書・請求書は下請法、フリーランス保護新法、インボイス制度、電子帳簿保存法に対応しており、SES特有の時間幅精算や合算請求、途中入退場にも柔軟に対応します。作業報告書の自動回収依頼機能で月末の勤怠回収業務を効率化でき、請求・支払管理までシームレスに連携します。
導入時のセットアップ支援と定期コンサルティングが無料で提供されており、200社以上の支援実績から業務効率化や集客・営業戦略のアドバイスも受けられます。
FreelanceBaseは、初めてのツール導入から事業拡大まで幅広いニーズに対応できるSES管理サービスです。
i-seiQ

(出典:https://www.iseiq.com/)
i-seiQは、SESを含むIT業界向けの契約・請求業務管理に特化したクラウドサービスです。稼働時間を入力するだけで超過控除金額を自動計算して請求書を発行でき、一度の契約登録で見積書・注文書など各種帳票をカスタマイズして出力できます。
また帳票は電子帳簿保存法対応形式で取引先とやり取りでき、勤務表のコメント・承認・差戻や入金消込にも対応しています。
項目 |
内容 |
|---|---|
主な機能 |
・契約管理・帳票発行 ・請求書発行(超過控除の自動計算) ・見積書発行 ・帳票の受け渡し ・入出金管理(入金消込) |
料金 |
初期費用+月額11,000円(税込)〜 |
無料トライアル |
無料デモアカウント発行 |
SESWORKS

(出典:https://lp.ses.works/)
SESWORKSは、エンジニア情報管理から契約管理・勤怠回収・請求処理まで対応できるSES管理ツールです。月末の勤怠回収リマインドメールを自動送付でき、専用ページからアップロードされたファイルはクラウド上に集約されます。
また勤怠時間・立替経費の入力で請求書を自動作成し、取引先への勤怠表・請求書はシステムから一括送付できます。なお契約管理では延長確認連絡を一括送付でき、進捗状況も一覧で確認できます。
項目 |
内容 |
|---|---|
主な機能 |
・エンジニア情報管理 ・契約管理(延長確認) ・勤怠回収(自動リマインド) ・請求書作成 ・書類送付(一括送付) |
料金 |
初期費用0円 月額880円〜 |
無料トライアル |
デモ画面あり |
Fairgrit

(出典:https://www.agent-grow.com/fairgrit/)
Fairgritは、勤怠管理・契約管理に加えてエンジニアのメンタル管理まで含めた業務効率化を支援するSES業界特化型SaaSです。入力された勤怠情報と案件情報から請求書を自動作成し、送付まで行えます。
また各種指標を元にフォローが必要な要員を自動で一覧化でき、従業員別・取引先別・支社事業所別の3軸で売上状況を確認できます。
項目 |
内容 |
|---|---|
主な機能 |
・週報・勤怠回収 ・請求書作成・送付 ・契約管理 ・要フォロー対象の自動抽出(残業・有給・メンタル等) ・売上の見える化(軸別集計) |
料金 |
初期費用0円 月額55,000円〜 |
無料トライアル |
資料ダウンロード可(詳細は要問い合わせ) |
SESコンパス

(出典:https://ses-compass.com/)
SESコンパスは、契約作成・管理・見積書発行・請求書発行・売上仕入れ利益管理に加え営業支援機能も備えたオールインワン業務支援システムです。
営業支援ではKPI管理や営業アクションガイドなどの機能を利用できます。また受発注管理では日割計算などSES特有のオプションに対応し、稼働実績の入力から請求書を自動計算できます。
項目 |
内容 |
|---|---|
主な機能 |
・受発注管理(日割など) ・契約管理(契約書送信など) ・見積書・注文書管理(発行・送信) ・請求書管理(自動計算・送信) ・営業支援(KPI・アクションガイド) |
料金 |
初期費用100,000円〜 月額6,000円〜(受発注機能) 月額9,000円〜(受発注機能+営業支援機能) |
無料トライアル |
一時停止 |
7.まとめ
SES請求書のエクセル管理は、契約件数が少ないうちは手軽で有効な方法です。ただし事業拡大に伴い、精算幅の計算ミスや契約更新の見落とし、電子帳簿保存法対応の負荷といった課題が出てきた場合は、SES管理システムへの移行を検討するタイミングです。
システムを選ぶ際は、自社の課題が契約・請求管理なのか、勤怠回収なのか、営業支援なのかを明確にすることから始めましょう。
課題が整理できたら、本記事で紹介したシステムの中から候補を絞り、無料トライアルや資料請求を通じて自社の業務フローに合うかを確認してください。
SES市場は今後も拡大が見込まれており、契約件数の増加に伴う管理業務の効率化はますます重要になります。エクセル管理の限界を感じている方は、この機会にシステム導入を検討し、請求業務の正確性と効率を高める第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。

