
SES社員の稼働率とは?計算方法から業界平均90%の目安・待機期間中の給与の3パターンまで解説
- SESの稼働率は実稼働人月を在籍総人月で割って算出され、九十パーセント前後が健全な経営指標の目安とされています。
- 待機中の給与は企業により異なり、正社員なら平均賃金の六割以上の手当、優良企業では全額支給されるのが一般的です。
- 稼働率百パーセントの過度な追求は、スキルミスマッチやエンジニアの将来的な成長を阻害する教育機会の喪失を招きます。
- 市場価値を高めて待機を防ぐには、需要の高いクラウド技術の習得や案件の終了見込みを営業へ早期共有する連携が必要です。
- 優良企業は商流が一次請け中心で、待機時も給与が満額支給されるなど、エンジニアのキャリア支援体制が整っています。
SES企業で働くエンジニアにとって、「稼働率」は給与や評価に直結する重要な指標です。しかし、稼働率の計算方法や適正水準を正確に理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。
「待機期間が発生したら給与はどうなる?」「稼働率100%は本当に良いことなのか?」といった疑問を抱えながら、漠然とした不安を感じているSES社員も多いはずです。
本記事では、SES企業における稼働率の基本的な定義や計算方法から、待機期間中の給与パターン、稼働率を高める具体的な戦略、さらには転職・フリーランス転向を検討すべきタイミングまでわかりやすく解説します。
稼働率に関する正しい知識を身につけ、キャリア戦略の判断材料としてお役立てください。
1.SES企業における稼働率の定義と計算方法
この章では、SES業界で用いられる稼働率の基本的な計算式と、待機・有給・研修といった要素が数値に与える影響、そして業界全体の平均値について解説します。
稼働率の基本的な計算式
SESにおける稼働率とは、所属エンジニアがクライアント先で実際に稼働している割合を示す経営指標です。
計算式は「稼働率(%)=(実稼働人月÷在籍エンジニア総人月)×100」で、たとえば10人在籍の企業で9人が案件参画中なら稼働率は90%となります。
SES企業の売上は「単価×稼働人数」で決まるため、稼働率が低下すると売上が減少し、固定費である人件費の負担が増大します。そのため多くのSES企業は稼働率を月次でモニタリングし、90%以上の維持を経営目標としています。
研修期間を稼働に含めるかなど、算出ルールは企業によって若干異なります。
待機期間・有給・研修が稼働率に与える影響
待機期間、有給休暇、社内研修は、いずれもSES社員の稼働率計算に影響を与える要素です。
待機期間は稼働率を直接押し下げる主要因で、エンジニアがクライアント先に常駐していない期間は社内業務を行っていても「顧客への請求(売上)が発生しない時間」として非稼働扱いになることが多く、売上が発生しないため経営上のリスクとなります。
有給休暇の扱いは企業によって異なり、稼働としてカウントする企業と非稼働として計算する企業があります。厚生労働省の調査によると令和6(2024)年の年次有給休暇取得率は66.9%と過去最高を記録しており、エンジニアの有給消化が稼働率に与える影響は軽視できません。
研修期間についても、入社直後の研修や資格取得のための学習期間を稼働に含めるかどうかは企業の方針次第です。また、エンジニアの成長投資として研修を重視する企業ほど、「売上が発生する稼働」を基準に稼働率を算出する場合は、一時的に稼働率が低下する傾向があります。
業界平均と健全な目安は90%前後である
SES業界における稼働率の健全な目安は、概ね90%前後とされています。
優良なSES企業では稼働率95%以上を維持しているケースもあり、たとえばある大手SES企業では稼働率99.5%を達成した事例もあります。
一方で、景気変動や案件需要の落ち込みにより稼働率が80%台まで低下することもあり、リーマンショック時には業界全体で80%程度まで落ち込んでおり、以下の通り稼働率の水準と企業の健全性には相関関係があります。
稼働率の水準 |
企業の状態 |
|---|---|
95%以上 |
非常に健全、営業力が高い |
90〜95% |
健全、業界平均以上 |
85〜90% |
やや注意、改善の余地あり |
85%未満 |
要注意、経営に影響の可能性 |
2.「稼働率100%」に潜む3つの落とし穴
この章では、稼働率100%を追求することで生じるリスクについて、高稼働率至上主義の弊害、スキルミスマッチ、教育機会の損失という3つの観点から解説します。
高稼働率至上主義に陥る
稼働率100%を至上命題として追求しすぎると、企業全体の判断力が鈍り、長期的な成長を阻害するリスクがあります。
高稼働率維持のためには案件終了前に次の案件を確定させる必要があります。ただし、案件の質よりも稼働を優先するあまり、エンジニアの希望やキャリアプランと合致しない案件にアサインするケースが発生します。
「とにかく現場に入れる」という営業姿勢は短期的な売上確保には有効でも、SES社員の不満蓄積や離職率上昇を招く恐れがあります。稼働率を重視しすぎると単価の低い案件でも受注する傾向が生まれます。
低単価案件への依存は企業の収益性を悪化させ、エンジニアの給与水準にも影響します。経営指標として稼働率を管理することは重要ですが、数字を追い求めて本質を見失わないことが肝要です。
スキルミスマッチが発生する
稼働率維持を優先した案件アサインは、SES社員のスキルと案件要件のミスマッチを引き起こす原因となります。
たとえば、Javaの開発経験が豊富なエンジニアを人手不足という理由でインフラ運用案件にアサインするケースがあります。このような配置ではエンジニアが持つスキルを十分に活かせず、モチベーション低下やキャリアの停滞を招きます。
クライアント側にとってもスキルが合致しないエンジニアのアサインは業務効率の低下を意味します。契約期間の短縮や途中解約となった場合、稼働率低下の悪循環に陥ります。そのため、適切なスキルマッチングにはエンジニア一人ひとりのスキルセットと志向を確認し、案件要件との適合性を見極める姿勢が必要です。
教育・研修の機会を失う
稼働率を常に高水準で維持しようとすると、SES社員の教育や研修に充てる時間が確保できなくなります。IT業界では技術の進化が速く、数年前のスキルセットだけでは市場価値を維持することが難しくなっています。
新しいプログラミング言語やフレームワーク、クラウド技術などを習得する機会がない場合、エンジニアの市場価値は相対的に低下します。これは長期的に見ると、企業にとっても受注できる案件の幅が狭まることを意味します。
一方で、優良なSES企業では稼働していない期間を研修やスキルアップの機会として積極的に活用しています。資格取得支援制度や社内勉強会の開催によりエンジニアの成長を促進しています。短期的な稼働率と長期的なスキル投資のバランスをどう取るかが、SES企業の経営手腕の見せどころです。
3.稼働率が低下する原因と待機が発生するメカニズム
この章では、SESエンジニアの待機が発生するメカニズムについて、営業力、スキルと市場ニーズの乖離、案件終了時期の情報共有という3つの観点から原因を掘り下げます。
営業力が不足している
SES企業の営業力不足は、待機期間が発生する最も根本的な原因の一つです。
営業力とは、クライアント企業との取引関係を構築・維持し、エンジニアをアサインできる案件を安定的に確保する能力を指します。
取引先企業の数が少ない、または案件のパイプラインが弱い企業では、現在の案件終了後も次の案件がすぐに見つからず、SES社員の待機期間が長期化しやすい傾向があります。
営業力が高いSES企業の特徴として、以下の点が挙げられます。
大手SIerやエンドユーザー企業との直接取引がある
複数の業界・業種にクライアントを持ちリスク分散ができている
エンジニアのスキルを正確に確認し適切な案件提案ができる
案件終了前に次の案件を確定させるタイムマネジメントができている
待機期間が頻繁に発生する場合、所属企業の営業力に問題がある可能性を考慮する必要があります。
エンジニアのスキルと市場ニーズが乖離している
エンジニア自身のスキルセットが市場ニーズと乖離している場合、案件マッチングが難しくなり待機期間が発生しやすくなります。
IT業界は技術トレンドの移り変わりが激しく、数年前に需要が高かったスキルが現在は陳腐化しているケースも少なくありません。たとえば、レガシーシステムの保守運用経験のみでクラウドやコンテナ技術の経験がないエンジニアは、案件の選択肢が限られます。
市場ニーズの高い技術領域として、2025年現在では以下のようなスキルが挙げられます。
クラウド(AWS、Azure、GCP)
コンテナ技術(Docker、Kubernetes)
Python、JavaScript、Go言語
AI・機械学習関連技術
セキュリティ関連技術
自身のスキルセットを定期的に棚卸しし、市場価値を客観的に確認することが待機リスクの軽減に有効です。
案件終了時期の情報共有が甘い
案件終了時期に関する情報共有の不備も、SES社員の待機期間発生の原因となります。
SESでは通常、案件終了の1ヶ月前までに次の常駐先を探し始めます。ただし、エンジニアからの報告が遅れたり営業担当との連携が不十分だったりすると、次の案件確保のための時間が十分に取れなくなります。
情報共有が甘くなりやすいパターンとして、以下のケースが考えられます。
エンジニアが契約更新の可否を確認できていない
クライアント側のプロジェクト事情が急変した
営業担当とエンジニアのコミュニケーション頻度が低い
案件終了時期の報告ルールが曖昧になっている
待機を防ぐためには、案件の終了見込みを早期に共有し、営業担当と密に連携を取ることが重要です。
4.待機期間中の給与はどうなる?3つの支給パターン
この章では、SESエンジニアが待機期間に入った際の給与支給パターンについて、満額支給・減額支給・無給の違い、社会保険料・税金の取り扱い、入社前に確認すべきルールを解説します。
満額支給・減額支給・無給の違い
待機期間中の給与支給方法はSES企業によって大きく異なり、主に3つのパターンに分類されます。
支給パターン |
内容 |
該当する雇用形態 |
|---|---|---|
満額支給(100%) |
通常勤務時と同額を支給 |
正社員(優良企業) |
減額支給(60%以上) |
平均賃金の60%以上を支給 |
正社員(休業扱いの場合) |
無給(0%) |
給与が発生しない |
有期雇用・業務委託 |
満額支給は社内待機として出社し社内業務や自己学習を行う場合に適用されることが多く、自宅待機でも「勤務扱い」と認定された場合は給与が100%支給されます。
減額支給は労働基準法第26条
に基づき、会社都合による休業の場合は平均賃金の60%以上を支払う義務があることを根拠としています。一部のSES企業では待機を「休業」として扱い、法定最低限の60%のみを支給するケースがあります。
無給は無期雇用の正社員であれば原則として違法ですが、有期雇用契約で「案件参画期間のみ雇用契約を締結する」形態の場合、案件がない期間は雇用関係自体が存在しないため給与が発生しないことがあります。
社会保険料と税金の取り扱いはどうなる?
待機期間中も雇用関係が継続している限り、SES社員の社会保険料と税金の取り扱いは通常時と大きく変わりません。
健康保険料と厚生年金保険料は標準報酬月額に基づいて算出され、待機期間が1〜2ヶ月程度の場合は標準報酬月額の見直しは行われないのが一般的です。
ただし、給与が大幅に減少した状態が3ヶ月以上継続すると、「随時改定」により標準報酬月額が引き下げられる場合があります。
雇用保険料は実際の給与額に応じて計算されるため、待機期間中に給与が減額された場合は保険料負担も減少します。所得税は源泉徴収されますが、年間の給与総額に対して課税されるため、待機による一時的な収入減少は年末調整で精算されます。
また、住民税は前年の所得に基づいて計算されるため、待機期間が発生しても当年の住民税には影響しません。
入社前に確認すべき待機期間のルールとは?
SES企業への入社を検討する際は、待機期間に関するルールを事前に確認しておくことが重要です。
確認すべきポイントは以下の通りです。
待機期間中の給与支給率(100%か60%か)
社内待機と自宅待機の取り扱いの違い
待機期間中に有給休暇の消化を求められるか
賞与への影響(待機期間分が減額されるか)
過去の平均待機期間と発生頻度
面接時に「待機期間が発生した場合の給与はどうなりますか?」と質問することはまったく失礼ではありません。この質問に曖昧な回答しかできない企業は体制面に不安がある可能性があります。
優良なSES企業は待機期間中も満額支給するケースが多く、このような福利厚生は企業の健全性を測る一つの指標となります。
5.待機期間が長引くリスクとエンジニアへの影響
この章では、待機期間の長期化がSESエンジニアに与える影響について、収入面、スキル面、モチベーション面の3つの観点から具体的なリスクを解説します。
収入が減少する
待機期間が長引くと、SES社員は収入面で直接的な影響を受けるリスクが高まります。待機期間中の給与が減額される企業では平均賃金の60%しか支給されないケースがあり、月収30万円のエンジニアの場合は18万円程度まで収入が減少します。
住宅ローンや家賃、生活費などの固定支出を考えると、この収入減は家計に大きなダメージです。また、待機期間が賞与査定に反映される企業も少なくありません。
年2回の賞与のうち査定期間中に待機が発生していた場合、賞与額が減額されるケースがあり、基本給が満額支給されていても年収ベースでは大きな減少となる場合があります。
長期の待機を避けるためには、企業の営業力や案件の安定性を入社前に見極めることが重要です。
スキルが停滞する
待機期間が長期化すると、実務経験を積む機会が失われ、スキルの停滞や陳腐化が進行するリスクがあります。
SES社員にとってクライアント先での実務経験は最も効果的なスキルアップの機会であり、実際のプロジェクトでチームと協働し課題を解決する過程で、技術力だけでなくコミュニケーション能力やプロジェクト管理のスキルも磨かれます。
この機会が失われると、同年代の他のエンジニアと比較して成長スピードに差がつく恐れがあります。特に未経験や経験の浅いエンジニアにとって待機期間の長期化は致命的です。
新卒や第二新卒の場合は3ヶ月以上の待機が発生するケースも報告されており、この期間にスキルを伸ばせないとその後の案件アサインがさらに難しくなる悪循環に陥ります。
モチベーションが低下する
待機期間の長期化は、SES社員のモチベーションに深刻な影響を与えます。
「次の案件がいつ決まるのか分からない」という不確実な状況は精神的なストレスの原因となり、特に面談を重ねても案件が決まらない状態が続くと自己肯定感の低下や将来への不安につながります。
「自分のスキルが市場で評価されていないのではないか」という疑念がさらなるモチベーション低下に陥りやすいでしょう。また、自宅待機が長引くと生活リズムの乱れや社会的な孤立感も問題となります。
同僚やチームメンバーとの日常的なコミュニケーションがなくなることで、仕事への意欲を維持することが難しくなります。モチベーションの低下は面談でのパフォーマンスにも影響し、案件獲得をさらに困難にする要因となり得ます。
6.稼働率を上げる7つの具体的な戦略
この章では、SESエンジニアが稼働率を高め、待機期間を最小化するための具体的な戦略を、スキルアップ、営業連携、キャリア設計、企業選びの観点から解説します。
待機期間にスキルアップを行う
待機期間は、スキルアップに集中できる貴重な時間です。
待機期間中に取り組むべきスキルアップの方法として、以下が挙げられます。
市場価値の高い資格取得(AWS認定、Azure認定、情報処理技術者試験など)
オンライン学習プラットフォームでの技術習得(Udemy、Coursera、Progateなど)
個人開発プロジェクトでのポートフォリオ作成
技術ブログの執筆によるアウトプット
OSS(オープンソースソフトウェア)への貢献
特に資格取得は面談時のアピールポイントとして有効です。AWSやAzureなどのクラウド関連資格は求人ニーズが高く、保有していると案件の選択肢が広がります。
企業によっては待機期間中に資格取得支援制度や社内研修を提供しているケースもあります。なお、こうした制度を積極的に活用し待機期間を自己成長の機会に変えることが、次の案件獲得に有効です。
営業担当と連携を強化する
SES社員の稼働率を高めるためには、営業担当との密な連携が不可欠です。
営業担当と良好な関係を築くために意識すべきポイントを挙げます。
現在の案件状況や終了見込みを早めに共有する
自身のスキルセットや希望する案件の方向性を明確に伝える
面談可能なスケジュールを柔軟に確保する
面談結果のフィードバックを積極的に求める
市場動向や自身の市場価値について定期的に情報交換する
エンジニアと営業担当の関係は、単なる「案件を紹介してもらう側とする側」ではなく、協力してキャリアを構築するパートナーシップです。営業担当が自身のスキルや志向を正確に確認していると、ミスマッチの少ない案件提案を受けられる可能性が高まります。
そのため、定期的な1on1ミーティングを設定するなどコミュニケーションの機会を意識的に作ることが効果的です。
市場価値を高めるキャリア設計を行う
中長期的な視点でのキャリア設計は、稼働率の安定と収入向上の両方に寄与します。
市場価値を高めるキャリア設計のポイントは、以下の通りです。
3年後、5年後になりたいエンジニア像を明確にする
目標に到達するために必要なスキルを洗い出す
案件選択の基準を「単価」だけでなく「経験できる技術」も含めて判断する
上流工程(要件定義・基本設計)の経験を積む機会を狙う
マネジメント経験やリーダー経験を積む
SES社員の評価基準は「稼働率」や「継続参画の可否」に偏りやすいですが、希少性の高いスキルや経験を持つことが重要です。
たとえば、プログラミングだけでなく要件定義や設計工程の経験、チームリードの経験があるエンジニアは単価の高い案件にアサインされやすい傾向があります。
優良SES企業を見極める
所属する企業の質は、SES社員の稼働率に直接的な影響を与えます。優良なSES企業を見極めることが安定した稼働の第一歩です。
優良SES企業を見分けるチェックポイントを以下に示します。
チェック項目 |
優良企業の基準 |
|---|---|
案件の商流 |
一次請け・二次請けが50%以上 |
待機期間中の給与 |
100%支給 |
評価制度・キャリアパス |
明確に定められている |
研修・教育制度 |
充実している |
有給取得率 |
業界平均(62%)以上 |
平均勤続年数 |
5年以上 |
エンジニアの年齢層 |
30代・40代が在籍している |
面接時には「過去1年間の平均待機期間はどのくらいですか?」「待機が発生した場合の給与規定は?」といった具体的な質問をしてみましょう。
転職を検討する際はIT特化型の転職エージェントを活用し、企業の内部情報を収集することも有効な手段です。
7.転職・フリーランス転向を検討すべきタイミング
この章では、現在のSES企業からの転職やフリーランスへの転向を検討すべきタイミングと、その判断基準について解説します。
待機期間が長期化しているとき
待機期間が長期化している状況は、転職を真剣に検討すべきサインの一つです。
SESの待機期間は一般的に数日から数週間程度が目安とされ、1ヶ月を超える待機が発生した場合は注意が必要であり、3ヶ月以上続く場合は企業の営業力や体制に問題がある可能性が高いと判断できます。
待機期間が長期化する背景には、以下のような構造的な問題が潜んでいることがあります。
企業の取引先が少なく案件の選択肢が限られている
案件の商流が深く、下請け案件しか獲得できていない
エンジニアの数に対して営業担当が不足している
景気変動の影響を受けやすいビジネスモデルになっている
不景気になってから転職活動を始めても良い条件を得ることは難しくなります。そのため、待機が長期化する兆候を感じた場合は早めに転職市場の情報収集を始めることをおすすめします。
キャリア支援が受けられないとき
会社からのキャリア支援が十分に受けられない状況は、SES社員にとって成長機会の損失を意味します。
キャリア支援が不十分な企業の特徴として、以下が挙げられます。
資格取得支援制度がない、または形骸化している
定期的な評価面談やフィードバックがない
研修制度が新人向けのみで、中堅以上向けの制度がない
案件選択の希望を聞いてもらえない
キャリアパスが不明確で将来の見通しが立たない
SESエンジニアとしてキャリアを築くには会社のサポートを活用しながらスキルアップすることが効率的ですが、そのサポートが得られない環境では自力での成長に限界があります。
「現在の会社に居続けた場合、3年後の自分はどうなっているか」を想像し、成長した姿をイメージできない場合は環境を変えることを検討する価値があります。
企業選びのポイントとは
転職を決意した場合、次の企業選びでは以下のポイントを重視することが重要です。
案件の商流を確認する:一次請け・二次請けの案件比率が高い企業を選ぶ
待機期間の実績を聞く:過去1年間の平均待機期間と発生頻度を確認する
評価制度を理解する:単価評価制度や案件選択制度の有無をチェックする
離職率を調べる:離職率30%以下の企業は相対的に働きやすい環境である
エンジニアの年齢層を見る:30代・40代のエンジニアが活躍している企業は定着率が高い
フリーランスへの転向を検討する場合は、案件がない期間は完全に収入がゼロになるリスクを理解しておく必要があります。一方で、スキルと実績がある場合はSES正社員よりも高い収入を得られる可能性があります。
いずれの選択をする場合もIT専門の転職エージェントに相談すると、市場の相場感や自身の市場価値を客観的に確認できるため、おすすめです。
8.まとめ
SES社員にとって稼働率は、給与や評価に直結する重要な指標である一方、自分自身でコントロールできる部分も多くあります。
待機期間が発生した場合は、スキルアップの時間として前向きに活用し、営業担当との連携を密にすることで次の案件獲得を早めることができます。もし待機が長期化している、またはキャリア支援が十分に受けられないと感じている場合は、環境を変えるタイミングかもしれません。
IT人材の需要は今後も高まることが予想されており、自身の市場価値を正しく理解した上で戦略的にキャリアを構築していくことが重要です。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
